Gentoo 1.4 アップグレード・ガイド
1. 始める前に
準備をしましょう
あなたのGentooシステムの核の部分にメジャー・アップグレードを加えるときはいつでも、
いままで見たことが無いような問題が立て続けに起こる可能性があります。
この作業をする前に全ての重要なデータをバックアップしておくことは、
いつだって用心深くて良い習慣でしょう。
できれば、焦ってしまうことがないように、
このアップグレードのためにまとまった時間を用意してください。
あなたのマシンにインストールされている全てのソフトウェアを再度コンパイルする必要があります。
他の方法
これから紹介する方法があなたのシステムをアップグレードする唯一の方法だというわけではありません。
新しい1.4のシステムを別のパーティションにインストールして、
既存のシステム設定を再利用するという手もあります。
この方法を取ればいつでも以前のシステムにすぐに戻れるわけですから、
そう考えると利点もあります。
アップグレードするのをやめてしまうというのもひとつの方法でしょう。
やっぱり同じマシンでアップグレードしたいと思ったなら、そのまま読み進めてください。
注意して欲しいこと
Code listingの部分にemergeを実行するように書いてある場合は、
そのたびに-pや--pretendオプションを使ってテストをしてみると良いでしょう。
そうすれば、
いまからやろうとしていることが本当に自分が望んでいることなのか、
チェックすることができます。
2. 同じマシンでアップグレードする
Portageをできるだけ最新の状態にする
最新のebuildの構文の中には、古いバージョンのPortageでは利用できないものがあります。
2.0.44より前のPortageを使っているようなら、Portageをアップグレードしてみてください。
Code listing 2.1 |
# emerge sync
# emerge -u portage
|
Note: Portageのバージョンがかなり古い場合は、
"unscriptable object"というメッセージを含んだエラーが表示されるかもしれません。
/usr/portage/sys-apps/portage/files/README.RESCUE
を読んでその指示に従ってください。
その後、
あなたのPortageは最新の状態になるはずです。 |
GCCの共存の準備をする
このアップグレードの際、あなたは新しいバージョンのGCCをインストールすることになります。
2.95.3-r8より古いGCCは、
複数バージョンのGCCのインストールには対応していません。
そのため、最低でも2.95.3-r8というバージョンまでGCCをアップグレードしなくてはいけません。
また、GCCのアップグレードをすると、
あなたのシステムにgcc-configがインストールされるという嬉しい副作用もあります。
gcc-configを使うと、インストールされたいろいろなバージョンのGCCを、
あれこれ切り替えて使うことができます。
Code listing 2.2 |
# emerge -u gcc
|
gcc-configがちゃんと動いているかチェックしてみましょう:
Code listing 2.3 |
# gcc-config --get-current-profile
|
たいていのx86システムではi686-pc-linux-gnu-2.95.3と表示されるはずです。もっと古いシステムではi586-pc-linux-gnu-2.95.3となるかもしれません。
GCC 3をインストールする
これで現在インストールされているコンパイラをダメにしてしまうことなく、
新しいバージョンのGCCをインストールできるようになりました。
/usr/portage/sys-devel/gcc以下を探して、
最低でも3.2.1-r6より新しいバージョンのGCCのebuildを探してください。
あなたのマシンのアーキテクチャでstableとマークされている一番新しいものを選びます。
あるebuildがあなたのマシンのアーキテクチャでstableかどうかは、
そのebuild中のKEYWORDSという行を見ればわかります。
もし先頭に「~(チルダ)」の無いアーキテクチャ名がリストの中に入っていれば、
そのebuildはstableだということです。
3.2.2が一番新しいバージョンだったとすると、以下のようなコマンドを実行します:
Code listing 2.4 |
# emerge /usr/portage/sys-devel/gcc/gcc-3.2.2.ebuild
|
profileを変更する
次に、2種類のprofileを変更する必要があります:
gcc-config用のprofileとPortage用のprofileです。
Code listing 2.5 |
# cd /etc
# rm make.profile
# ln -s ../usr/portage/profiles/default-x86-1.4 make.profile
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Code listing 2.6 |
# gcc-config --list-profiles
# gcc-config i686-pc-linux-gnu-3.2.2
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toolchainを再コンパイルする
今度は、あなたの新しいコンパイラを使って、核となるtoolchainを再コンパイル必要があります。
同じシェルで続けて作業をしている場合は、
gcc-configの指示どおりにsource /etc/profileと実行します。
それでは新しいコンパイラを使って、
glibcとbinutilsをemergeしましょう:
Code listing 2.7 |
# emerge glibc binutils
|
Warning: この作業で、おそらくglibcを2.2などの古いバージョンから、
2.3へアップグレードすることになるでしょう。
作業後にglibcをダウングレードしないようにしてください。
glibc 2.3を使ってコンパイルしたソフトが全て動かなくなってしまい、
そのせいであなたのシステムが使えなくなってしまう場合があります。 |
新しいコンパイラで全てを再コンパイルする
これで、新しいコンパイラを使って全てを再コンパイルすることができるようになりました:
Code listing 2.8 |
# emerge -e world
|
Note: このコマンドがエラーのせいで止まってしまった場合は、
どこで止まっても、emerge --resumeとすることで止まった時点から処理をやり直すことができます。
そのためにはPortage 2.0.47以降が必要です。 |
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